公益財団法人 橘秋子記念財団では、日本のバレエ教育の向上とバレエ芸術の振興・普及を目指します。

橘秋子記念財団について
橘秋子記念財団は、昭和50(1975)年4月12日、わが国におけるバレエ教育の向上とバレエ芸術の振興・普及に努めた故橘秋子氏の意志継承を目的として、設立されました。
以来、青少年に対するバレエ教育の向上を図る方策として、バレエ芸術の指導とその発表、また、バレエ芸術の振興のために、優秀なバレエ芸術科の顕彰や奨学金の授与、バレエ芸術の研究、さらには、公演を行うなどバレエ芸術の創造、振興および普及に寄与する事業を行って参りました。そしてこのたび、内閣総理大臣より公益財団法人としての認定を受け、平成24(2012)年4月1日に財団法人の解散登記と公益財団法人の設立登記を行い、新たな一歩を踏み出しました。 今後は、わが国のバレエ芸術の発展・振興のために、下記のような事業を行って参る所存です。皆様のなお一層のご理解とご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

1.バレエ芸術の優秀な成果に対する表彰
2.奨学金の授与
3.バレエ公演の開催
4.海外のバレエ教師・振付家の招聘
5.児童のためのバレエ芸術の指導とその発表
6.青少年に対するバレエ芸術の後継者育成
7.ジャパンダンスコンペティションの開催
8.会報の発行
9.その他前条の目的を達成するために必要な事業

日本バレエ界のパイオニア 橘秋子
1907年(明治40年)宇都宮市に生まれる。栃木県女子師範学校(現・国立宇都宮大学)を卒業し、県内の小学校の教師を務める。1929年退職し上京、小林宗作のリトミック講習を受ける。翌1930年、日本初のバレエスクール「パヴロバ・バレエスクール」に入門、エリアナ・パブロバの内弟子となり、入門3日目のパヴロバ・バレエ団浅草松竹座公演でデビューした。1933年、橘秋子舞踊研究所を開設。多くのバレエ作品を創作し、門下生とともに橘秋子バレエ団の公演活動を行った。1950年、橘バレエ学園を設立(1953年、橘バレヱ学校に改名)。詩歌の会で交流を深めた武者小路実篤が学園の後援会会長を務めた。世界的ダンサー、アレクサンドラ・ダニロワ、イゴール・シュベッツォフらを教師として招聘し講習会を開催。日本人ダンサーとしての精神教育にも重点をおき、小笠原礼法、華道、茶道、座禅、滝行などの修練を取り入れた教育を行った。1956年、牧阿佐美バレヱ団を結成。毎月行った定期公演で年間20作品を上演する活発な活動の成果に対して、1965年に芸術選奨文部大臣賞を受賞。武満徹に作曲を依頼した「銀河鉄道の旅」を始め、「サーカス・バリエーション」で湯浅譲二、「獅子と王女」で鈴木博義、「飛鳥物語」で片岡良和、「角兵衛獅子」で山内正、「戦国時代」で小杉太一郎など、日本を代表する作曲家とともに多くの作品を生み出した。
1960年「運命」の振付で芸術選奨文部大臣賞、1963年「飛鳥物語」の振付で東京新聞舞踊芸術賞、1964年舞踊ペンクラブ特別賞、1967年「戦国時代」の振付で芸術祭文部大臣奨励賞を受賞。1967年紫綬褒章。1971年逝去、享年63歳。勲四等宝冠章、従五位受章。

令和4年度 橘秋子賞、牧阿佐美賞、橘秋子特別栄誉賞 決定のお知らせ
公益財団法人橘秋子記念財団は、うらわまこと、川島京子、三谷恭三の選考委員諸氏による協議の結果、バレエ界に著しく寄与し貢献した功績を表彰する橘秋子賞、及び、若手舞踊家を対象として今年新設する牧阿佐美賞の受賞者を下記のとおり決定いたしました。受賞者には賞状並びに賞金(橘秋子賞100万円、牧阿佐美賞50万円)、牧阿佐美賞には副賞としてチャコット株式会社様よりクリスタル盾が贈られます。
また今回は特別に、長年にわたる活動により日本におけるバレエ文化の発展に多大な貢献をもたらした森下洋子様に、橘秋子特別栄誉賞を授与いたします。

橘秋子特別栄誉賞 名前 森下 洋子
森下 洋子
授賞理由 舞踊歴70年を超える長きにわたり、日本を代表するプリマ・バレリーナとして活躍。その経歴に並ぶ“日本人初”“最年少”“バレエ界初”の功績が表すとおり、日本と世界で、芸術家として存在感を示し続けてきた。清水哲太郎氏とともに松山バレエ団を率いて現在も旺盛な
創作活動を行い、バレエ芸術の発展に貢献している。
第41回
橘秋子賞
名前 地主 薫
地主 薫
授賞理由 新国立劇場バレエ団プリンシパル奥村康祐はじめ国内外の著名バレエ団で活躍するトップダンサーを数多く育て、振付作品では文化庁芸術祭大賞、優秀賞を受賞するなど、個人として、またみずから率いるバレエ団として充実した活動を続けていることに対して。
第1回
牧阿佐美賞
名前 青山 季可
青山 季可
授賞理由 偉大な指導者である牧阿佐美の下で研鑽を積み、師亡き後もその成果を十二分に発揮し、バレエ団の核としての存在感を示し、さらに、役作りに対する真摯な姿勢と優れた成果をもって、日本バレエの未来を照らす輝かしい活躍をみせた功績に対して。
受賞者プロフィール
森下 洋子 (もりした ようこ) Yoko Morishita
1948年、広島県広島市に生まれる。
3歳よりバレエを始め、葉室潔、洲和みち子、橘秋子、シュベッツオフに師事。1971年、松山バレエ団のメンバーとなり、松山樹子に師事する。芸術選奨文部大臣新人賞受賞。松山バレエ団員として第四回、第五回訪中公演に参加。1974年、ヴァルナ国際バレエコンクールに清水哲太郎とともに出場し、金賞を受賞。1年間の文化庁在外研修員としてモナコに留学、マリカ・ベゾブラゾヴァ女史に師事する。
1976年、「白鳥の湖」で文化庁芸術祭大賞を受賞。以後、日本はもとよりアメリカ、イギリス、フランス、スペイン、イタリア、ドイツ、オーストリア、スイス、南アフリカ、オーストラリア、ブラジル、メキシコ、マニラ、中国など世界各国に活躍の場を広げる。1976年の初共演をきっかけに、1977年にはロンドンにてエリザベス女王戴冠25周年記念公演でルドルフ・ヌレエフと踊る。同年、文化庁芸術祭大賞を「ジゼル」で清水哲太郎と共に受賞。芸術選奨文部大臣賞受賞。1982年、日本人として初めてパリ・オペラ座に出演する。同年毎日芸術賞受賞。1983年には松山バレエ団創立35周年を記念し、“ヌレエフと松山バレエ団”にて「白鳥の湖」「ジゼル」全幕をヌレエフと踊る。1984年、都民栄誉賞受賞。同年NYメトロポリタンオペラハウス100周年記念ガラパフォーマンスにゲスト出演。このほかパリ・オペラ座、ヴィエナ・オペラハウス、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場、シティセンター、ワシントン・ケネディセンター、ロンドンコロシアム劇場、ローザンヌ・ボーリュ劇場、シドニー・オペラハウス、北京天橋劇場、上海大劇院などでプリマとして出演。1985年、第41回日本芸術院賞、昭和60年度東京新聞舞踊芸術賞、婦人関係功労者内閣総理大臣表彰受賞、英国ローレンスオリビエ賞受賞。1987年よりローザンヌ・バレエ・コンクール、ニューヨーク・バレエ・コンクールなどの国際コンクールでも審査員を務める。1990年朝日賞受賞。1994年外務大臣賞受賞。1997年には女性最年少の文化功労者として顕彰される。2001年舞踊歴50年を迎え、松山バレエ団団長に就任。松山バレエ団のプリマ・バレリーナとして国内外問わずバレエ団のほとんどの公演に主演する一方、バレエ団のあらゆる創造活動の要として活躍。古典バレエだけでなく50年を記念して作られた「アレテー」「On the dancing planet」など新作にも積極的に取り組んでいる。また、2005年には南青山の松山バレエ団「Mouseion」で新たな公演形態を清水哲太郎と共に創り、世界の芸術界の革新運動を推し進めている。2021年、舞踊歴70年を迎えた。
2002年、日本芸術院会員に就任。2012年、第24回「高松宮殿下記念世界文化賞」、広島、中国新聞社 中国文化賞受賞。著書に「バレリーナの羽ばたき」(ゆまにて出版)「バレリーナの情熱」(大和書房)「バレリーナの情熱」(角川出版)
地主 薫(じぬし かおる)  Kaoru Jinushi  
地主薫バレエ団、地主薫エコール・ド・バレエ代表、(公社)日本バレエ協会関西支部協会員
1972年法村友井バレエ学校を経て、同バレエ団に入団、友井唯起子、法村牧緒、友井櫻子、三宅晢司に師事。
法村友井バレエ団ではソリストとして活動。同バレエ団へ振付・主演した「FLAME」はNHK芸術劇場でTV放映される。
1988年地主薫エコール・ド・バレエ及び地主薫バレエ団を設立。
1999年石田種生氏に振付を依頼し【竹取物語】を主演する。
引退後は 団員育成に力を注ぎ、2006年に東京新聞主催全国舞踊コンクール・特別賞指導者大賞、2018年に韓国国際バレエコンクール・最優秀指導者賞など数々の指導者賞を受賞し、国内外で活躍するダンサーを輩出する。
また創作活動にも取り組み、バレエ団に演出・振付した作品は、
2008年大阪文化祭賞・グランプリ(ロミオとジュリエット)
2012年大阪文化祭賞・奨励賞(コッペリア)
2014年文化庁芸術祭・大賞(アリ・ババと40人の盗賊)
2016年文化庁芸術祭・優秀賞(人魚姫)
2019年文化庁芸術祭・大賞(人魚姫)
などを受賞する。
長年の活動が認められ2017年には憲法記念日大阪府知事表彰を受ける。
青山 季可 (あおやま きか)  Kika Aoyama  
1982年生まれ。3歳から川上恵子バレエ研究所でバレエを始める。92年、橘バレヱ学校に入学。AMステューデンツ(18期生)と日本ジュニアバレヱで牧阿佐美、三谷恭三に師事。9歳で牧阿佐美バレヱ団の「くるみ割り人形」で主役クララを踊るほか、スコティッシュ・バレエ(92年)、ボリショイ・バレエ(93年)、ハンブルク・バレエ(94年)の来日公演に出演。12歳の時に牧阿佐美バレヱ団「ドン・キホーテ」でキューピッドの踊りが大きな話題を呼び注目を集めた。96年、英ロイヤル・バレエ・スクールに留学し、デイム・メール・パークらに師事。99年、同校を卒業し、ドイツのジョン・ノイマイヤー・ハンブルク・バレエスクールに入学。01年、同校を卒業し、牧阿佐美バレヱ団に入団。以降すべての牧バレヱ団公演に出演。これまでに主役を演じた作品は、「白鳥の湖」オデット/オディール、「眠れる森の美女」オーロラ姫、「くるみ割り人形」金平糖の精、「ラ・シルフィード」シルフィード、「ロメオとジュリエット」ジュリエット、「リーズの結婚」リーズ、「ジゼル」ジゼル、「ドン・キホーテ」キトリ、「ライモンダ」ライモンダ、「三銃士」コンスタンス、「アルルの女」(ローラン・プティ振付)ヴィヴェット、「ノートルダム・ド・パリ」(ローラン・プティ振付)エスメラルダ、「飛鳥 ASUKA」(牧阿佐美振付)春日野すがる乙女、「時の彼方に ア ビアント」カナヤなどがあるほか、「誕生日の贈り物」のソリストなどを踊っている。93年、全国舞踊コンクール第2部で1位および文部大臣賞を受賞。07年、スワン新人賞、12年、中川鋭之助賞、16年、服部智恵子賞を受賞。
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